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【書籍】その問題は誰のもの?当事者視点で編まれた「セックスワーク・スタディーズ」が発売

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神保町の三省堂には25日に入荷していた

 9月26日、セックスワーク経験者を中心に当事者や研究者、支援者たちによって作られた『セックスワークスタディーズ』(日本評論社)が発売される。
 編集は「性風俗で働く人々の健康と安全のために活動する」団体「SWASH」によるもの。
 本の紹介には「セックスワーク研究を切り開く、はじまりの一冊」とある。

 この本には「当事者が”被支配・搾取されている”と一方的に支援することが、被支配・搾取そのものである」ことや「当事者は弱者であり、助けなければいけないものとしなければ接することができない”支援者”たち」という構図が、そこかしこに出てくる。

 これは”セックスワーク”だけのことではないだろう。心身の障害や、セクシュアルマイノリティ、ひきこもりや子育てに至るまで、外部から一方的に「こんな問題を抱えているだろう」と見られがちな様々な当事者に起こることだ。

 セックスワークでは、近年メディアでの「風俗嬢×貧困」の切り口が流行り、様々なルポやドキュメンタリーが”悲惨で可哀想な”視点で取り上げられた。
 支援でもセックスワークに携わることそのものが「被害」であるような視点での活動が増え、ワーカー当事者たちの間隔とはズレていることが多い。
 
 セックスワーク業界に、問題があふれていることは事実だ。店舗型が営業できなくなり、デリやよりアングラ化し危険が増すなど社会構造からくる問題や、現場での客対応やストーキング等ハラスメントについても。
 この本は、まず「”問題”とされていることは誰が決めるの?」と、当事者主権を取り戻すことからはじめる。
 
 風俗嬢だから貧困だろう、過去に性的なトラウマを抱えつけこまれているだろうというステレオタイプな物語をいったん外したところから、本当の問題の「声」は聞き取れる。

 そこからはじめて、たとえば感染症から契約書サインの問題、また周囲へのカムアウトなど具体的な問題対応へ少しづつ安心してシフトしてゆけるだろう。AVから、風俗から抜けること一つだけが「解決」でも幸せでも無いのだ。当たり前だが。

 ブログ筆者はセックスワークの権利系問題にあまり近くなく、稚拙な紹介で申し訳ない。
 ただ自分が思い出すのは「はじめて自分が必要とされた、大事にされた」と喜びながら、やがて孤独の中で死んでいった何人かの精神的に不安定なワーカーの友だちたちだ。
 また自分がまだ高校生の頃、リストカット等しながら援交していた何人かの友だちたちのこともある。

 彼らが大人になって、生き返って戻ってきて、当事者としての誇りを持つ言葉たちを獲得し、堂々と社会に相対してきた。
 そんなほのかな嬉しさを、勝手にこの本を手に取って感じたのだった。
 非常に個人的なことだが。
 
 ”セックスワーク”に関わる人以外にも、当事者と自覚する人たちにおすすめの研究・実践の”ここからはじめる“一冊。

swash (@swash) | Twitter

セックスワーク・スタディーズ SWASH

いかがわしくあってはいけない障害者の性――“差別撤廃”か“部分的権利保障”か / 要友紀子 / SWASH代表 | SYNODOS -シノドス-