NO FUTURE FOR FUTURE

NO FUTURE,FOR FUTURE.メンタルや身体が不調でも、ほんの少しだけ明るくなれるようなことたち

【発達障害】ADHD当事者らが、14の自助会を体験できる”博覧会”を開催=10.18大阪

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https://hattatsu-expo.com/ より

 10月18日(日)大阪市中央公会堂で『発達障がい当事者博(ハッタツエキスポ)』が開催される。14の発達障害当事者グループ(自助グループ)によって、実際の自助グループ体験が出来る。
 テーマは仕事の悩みや恋愛トーク他、対象も若者向けや中高年、発達障害の子どもを持つ親向けなど幅広い。

■話す能力が高いと「困り度が伝わらない」

 立ち上げ人は、ADHD当事者である小松健児さん。小松さんは、10年前に仕事のミスが多すぎることに悩み、病院に受診したところADHDと診断された。

「同じ仕事が3年以上続いたことがない」という小松さんは、その後も転職を繰り返しながら、様々な発達障害自助グループに通った。自助グループとは、当事者たちで集まって日々の出来事や気持ちを語りつつ、他の当事者の話を聞く集まりだ。

 小松さんは自助グループに「しんどさが大きくなった時に」通っていたという。「楽しかった。気を使わず、表に出せない気持ちを出せる。(同じ障害を抱えながら)頑張っている人を知ると、触発される」と、生活の中で大事なものになっていった。

 小松さんには苦い思い出がある。診断される前後「世界で一番困ってると思っていた」(小松)時期に、色んな発達障害関連の支援機関に出向いていた時期だ。

「話す能力が少し高いので、かえって”困り度”が伝わらない。下手に説明能力があると『そんなに困っていないな』という印象を与えてしまう。結局『私たちはもっと困っている人を助けるので、あなたは対象外です』と追い返された。助けてもらなかった」と、支援の外に置かれてしまった経験がある。
 そんな中、当事者たちで集まり共感しあう自助グループは、小松さんの中で大きな助けになった。

 当時、小松さんの周りには発達障害全般や、ASD高機能自閉症)のものはあっても、ADHD単体でのものが見つからなかった。そこで小松さんは、18年に自身が自助グループを立ち上げた。心がけたのは”楽しくすること”と”曜日を固定しないこと”だ。

 人が来やすいようにと、クリスマスパーティや、イベントバー”エデン”で一周年を祝うイベントなども開いた。また、開催する日にちも曜日をバラバラにして、月に2,3回ペースで告知していた。「楽しくなかったら来ないし、続かない。曜日を固定すると、参加する人も固定される」と、風通しの良いグループを目指した。

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”レンタルADHDオジサン”の小松さん(左から2番目)をはじめ、当事者たちが作るイベント

■多用なグループを集め「自分に合った会を探す一助に」

 19年の冬、知り合いの繋がりで、地域活性化の企画コンペに参加することになった。「当事者グループに参加する間口を広げたい」と考えていた小松さんは、ここ数年で多く立ち上げられるようになった様々な当事者グループたちを集めて”博覧会”を出来ないかと考えた。

「まだまだ自助グループは、クローズな印象があり、参加するのに心理的なハードルが高い。お祭りのような形式にすることで、参加しやすくなるのでは」と、今回のイベントを行うことを決めた。
 体験型の”博覧会”にするため、テーマごとにエリアを4つに分ける。「働く」「恋愛」「家族」そして「グレーゾーン」だ。グレーゾーンとは未診断であったり、自分が発達障害かどうかがまだわからない人。また、似たような特性で悩んでいるが”重度ではない”ため、以前の小松さんのように支援には繋がれていない人たちだ。

 小松さんは「自助会をしていても、一定数の人は来なくなったりする。重度の人や軽度の人で、困りごとのミスマッチがあり、軽度の人は離れていったりしてしまう。もったいないなと思っていた。一日で一気に色んな会を試せると、自分に合った会を見つけやすい。もし見つけられなくても『他の会に行ってみたら自分に合う会が見つけられるかも』と思える」と、現在の自助グループの多様性を感じてほしいという。

 さらに「発達障害者がラクになるのは、当事者だけが理解できるのではなく、色んな人に理解してもらえないと。今はテレビとかメディアで、発達障害のことを知れるけれど、当事者と交流することがなかなかない。定型(発達障害ではない)の人でも、こういう会に来てもらうことで『発達障害でも色んな人がいるんだな』『(自分にとって)大丈夫な人は大丈夫なんだな』と、体験してほしい」と、当事者の多様性にも触れてほしいと語る。

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14のグループを参加と見学に分かれ、無理せず”体験”できる

 新型コロナウイルス対策のため、500人の会場に定員は200名まで。安全を徹底するため、行き届くよう50人ものボランティアスタッフで運営する。マスクや消毒の徹底はもちろんだが、非接触型の体温計も複数購入する。しかし”敷居を下げるため”入場料は無料だ。

 そのためかなりの経費がかかりクラウドファウンディングも募集したが、9月30日までの締め切りに、約3割しか集まらなかった。集まらなければ支援を受け取ることのできない”All-or-Nothing方式”となっているため、小松さんは企業スポンサーなどを集めるため奔走することになると言う。

 18年に自助グループをはじめた当時、小松さんは”レンタルADHDおじさん”という、無料で街中で相談に応じるサービスを行っていた。「好奇心で始めてみた」という小松さんだったが、お客さんはほぼ全員が発達障害特性を持つが、未診断の”グレーゾーン”な人ばかり。とくに大学生くらいの若い女性が多かったと言う。

「(発達障害の)話を聞かせてくれと呼びだされるが、会うと皆自分のことをしゃべってくる。自分は聞くほうが多かった。話す機会が少ないんだな、他の当事者とまだ繋がっていないんだなと感じた」と言う。

自助グループと聞くと、まだ”気持ち悪い””怖い”という人も多いかもしれない。でも気軽に体験してみてほしい。『お化け屋敷かと思って行ってみたら、実はディズニーランドでした』みたいな」と笑う小松さん。

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歴史ある大阪市中央公会堂

  イベントは人数制限があるため、申込制となっている。参加者は9月後半時点では60人ほどで、関西以外にも東京やその他の地方などあちこちから申し込みがあるという。年齢層も幅広く「発達障害のお子さんをお持ちかもしれない、年配の方も多い」とのこと。

 自助グループ体験は、椅子に座っての正式な参加と、後ろに立って見学の2つが選べる。座って参加は、ワークショップのように2時間最後まで体験してもらうが、見学はその間様々なグループを移動することが出来る。

hattatsu-expo.com


開催日:2020年10月18日(日)
時間:11:00-18:30(10:30 open)
場所:大阪市中央公会堂 大阪市北区中之島1丁目1番27号
問い合わせ:ハッタツエキスポ実行委員会/実行委員長:小松健児 E-mail:ec04kk@gmail.com TEL:090-9691-8464