明日のことは、わからない

NO FUTURE,FOR FUTURE.メンタルや身体が不調でも、ほんの少しだけ明るくなれるようなことたち

メンヘラたちは『プライドハウス』を作れるか/セクマイたちのアーカイブ図書館・安全空間がオープン

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プライドハウス東京レガシー公式サイト http://pridehouse.jp/ より

 10月11日(日)東京・新宿に、性的少数派(セクマイ)たちの情報拠点であり「安全な居場所」でもある常設施設『プライドハウス東京レガシー』がオープンした。当日は国際カミングアウトデーでもあった。
 場所は新宿御苑にほど近いビル2階にあり、16日から毎週月、金、土、日曜の13時〜17時(入場無料)に開館する。

 プライドハウスとは、オリンピックなどの国際的なスポーツ大会などで、当事者の選手や観覧客等に安全なホスピタリティを提供する場所として期間限定で立ち上げられているもの。2010年のバンクーバー冬季オリンピックからはじまり、日本でも昨年のラグビーワールドカップに合わせて設立・運営された。

 今回の『東京レガシー』は常設で、東京オリンピックパラリンピックの翌年に開設が予定されていたが「長引くコロナ禍中にこそ、安心して交流出来る場所が必要」とし本年の設立となった。
 オリンピック・パラリンピック組織委員会の公認プログラムに初めて認定。各国の大使館も後援する。

 運営・協力は19年のラグビーWC時にも携わったグッド・エイジング・エールズの松中権代表を始め、新宿二丁目の情報センターとして開館してきたコミュニティセンターakta、プライドパレードのレインボープライドなど界隈では名の通った多くの団体たちが名を連ねる。

 施設はイベント企画を行える交流スペースの他、相談室も兼ねた個別スペース、そして『LGBTQコミュニティ・アーカイブ』として日本のセクマイ資料を集めたライブラリーを設立・開放する。

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今は絶版の名作セクマイ書籍たちとも会えるか

 『LGBTQコミュニティ・アーカイブ』とは、クラウドファンディングページによると「コミュニティ当事者自らが、その地域やコミュニティの出来事や歴史を記録し、アーカイブとして継承しようとする活動」とのこと。
 具体的には
出版や流通にのった商業主義的なものだけではなく、関連イベントのフライヤーやポスター、パンフレット、同人誌やミニコミ誌なども含め、各種メディアの資料なども広く想定しています。また、個人の『語り』など、埋もれてしまいがちなものについてもアーカイブの対象としていきたいと考えています」とあり、記録資料としてまず1200点を集めるという。

 東京レガシーは他にも「LGBTQ」に関しての様々な情報も発信してゆき、来年夏のオリンピック開催時には、セクマイ当事者たちを始め選手たちのサポートも行われる。


 自分はaktaのより公的なものかな、と思っていた。しかしaktaが当事者へのセクシャル・ヘルス(HIVなど)の情報センターとしての役割が大きいのに対し、東京レガシーは外部向け情報や、”目玉(?)”であるアーカイブのライブラリー施設の存在が大きいとは思う。(aktaにもいくつかの資料はあるが)

 自分は以前(今もだが)、日本で”LGBT”という言葉が周知の萌芽を見せるセクマイ当事者活動界隈を取材して書いていた。
 それは、彼らのキーワードである”プライド”と”制度に依らない繋がり”に惹かれていたからだ。自分たちメンタル系の生き方の先にあるものとして。
 プライドとは、”(世間からどう思われようと)私は私である”という自尊であり、どんなに世間の声を敵にまわしても、自分の生き方と愛する者は守ってゆくという姿勢そのものだ。
 90年代のパレードやパーティの象徴であった、ドラァグたちの過剰な装いや振る舞いからもそれは見て取れ、自分は憧れていた。
 しかし「LGBT」化は、それをより自然に生活の中で、生きていこうと取り入れられてきたキーワードのように思えた。
 案の定、2010年前後の「日本LGBT」を引っ張っていったのは、レズビアンFtM(寄り)たちが多かった。

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2011年度の第一回LGBT成人式メンバー http://alternas.jp/study/news/13855 より
左の藥師氏はReBit代表として、現在プライドハウス東京ともオンラインイベント他運営で関わる

 私は引きこもり上がりで、元過剰なリストカッターで、オーバードーズも多くしたメンヘラだ。世紀末を超え、生き残ってきた。
 その中には志を持ちながら、生半ばに行った者もいるし、アングラな交流の果てにネット心中まがいに行った者もいた。
 援助交際リスカを繰り返しながら、事業を立ち上げた者もいるし、今なお生活保護を受けながら、後遺症とともに生きている者もいる。
 この20年だけでさえ、本当に多くの”歴史"があった。

 セクマイ界では、ハーヴェイ・ミルクから今に至るサンフランシスコ・カストロの隆盛など、歴史的なアイコンや象徴的な理想像などがある。もちろん近年のフロリダ乱射や、日本の新木場事件など悲劇もだ。しかしその上に成り立っている現在という感覚も、活動的な”LGBT一線”の間ではどこか共有しているだろう。

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2014年、たった3人から始まった青森レインボーパレード https://www.facebook.com/miho.okada2 より

 メンヘラ(精神障害・精神科通院者、依存症者、各種サバイバー)らにそれはあるだろうか。
 私たちも、先人の歴史の上に今いるのだ。そこに”プライド”はあるのだろうか。
 好んで得た”メンタル困難”ではないかもしれない。しかし、過去のアーカイブの上に私達は生まれてきているし、振り返り学ぶこともあるだろう。

 『LGBT』界隈に対しては、当事者とくくられる多くのセクマイたちの一部からは反発もあるだろう。
 しかしムーブメントを作り、(いさかいはあるにせよ)連帯し『過去のアーカイブ』までに目を向けられるものとなった『LGBT』たちは素直に凄いと思う。

 私たちは、過去から現在、未来につなぐ、死んでいった仲間たちから、生きてのたうっている今、そして今後生まれてくるだろう仲間たちに繋げられる”ゆるやかな連帯”とプライドを獲得することは出来るだろうか。

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