【参院選】セックスワーカーの声を国会に、要友紀子さんが立候補「法律を当事者抜きで決めないで」
7月10日(日)投票の参院選に、セックスワーカーの支援団体『SWASH』の代表で、性風俗キャスト経験者でもある要友紀子さんが、立憲民主党の比例区候補者として立候補した。
セックスワーカーの権利を守り、国政レベルからも差別をなくしたいとする要さんは「(法案を)当事者抜きに決めないで。私の身体は私のものだ」と語る。
00年代に性的少数派(LGBTQ)であることをカムアウトし政治家となった尾辻かな子氏をはじめ、近年ではLGBTQであることを表明して選挙に出馬、当事者の声を届けたいとする候補者たちが増えている。
今回の参院選でも東京・斎木陽平氏らがLGBTQであることを打ち出して立候補している。
今まで”政治的に存在がなかったもの”にされてきたLGBTQが、近年クローズアップされることで声を上げやすくなり、より自分たちの思う生きやすい社会にしていきたいという流れの現れだろう。
存在がないものにされる、というのは差別そのものだからだ。
今回の参院選では、国内ではほぼ例を見ない、元セックスワーカーであることを公表し、セックスワーク業界への差別撤廃を掲げる要さんが立候補した。
要さんは00年前後から、膨大なフィールドワークと実体験から、性風俗業界・当事者たちの生の言葉を伝えるイベントを参加・開催したり、様々な媒体等に寄稿してきた。
またセックスワーカー当事者たちで構成され、自分たちの安全・健康を共助支援する団体『SWASH』を主催し、ワーカーたちの電話相談窓口や、風俗店オーナーらの研修事業など幅広く活動している。
近年では、コロナ禍の休業補償や持続化給付金に、ワーカーや店舗事業者が給付対象外となっていたことが記憶に新しい。要さんらはこれを批判、ワーカーたちには給付金の対象になるも、事業者らには対象外になったままだ。
なお給付金の対象とならない事業者らが国を訴えたが、東京地裁は先月末「性風俗は本質的に不健全」と却下している。
またAV被害救済新法が今年6月に可決されたが、契約をAV撮影日の一ヶ月前までに締結しなくてはならないことや、撮影してから発表まで4ヶ月の間を空けるなど、迅速に仕事が回らず困窮する現場が続出している。関係者には仕事を変える者もいるくらいだ。
これらは、法制化の過程で当事者や現場からのヒアリングが無いがゆえに行われたことだ。
要さんは「性産業で働く人々がさらに困窮するような、当事者不在の法律・政策を食い止めるには、性産業で働く人々の声を聞き、政治に反映させたい」と当事者の声や事情を、国会に届けたいとする。
貧困やDVなどに苦しむ女性を支援する困難女性支援法も今年5月に可決されたが、その当事者に多く接触し、長年ロビー活動も続けるSWASH・要さんらが「支援のあり方について、検討会に加わりたい」と要望しても、遂に入れることはなく終わった。
当事者の声を聞かず、差別対象や”救ってやるべき被害者・弱者としてのみ見る”という為政者の構えは、支配を生む。これは性風俗業界に限らない。
要さんは「性産業のことは、性産業で働く人たちが決めるという、当たり前のことをちゃんと普及させたい」とする。ミッションは11の具体的な項目に分かれており、こちらに動画つきで出ている。
【要 友紀子@立憲民主党比例区総支部長がやりたい11のこと】
— 要 友紀子☂️参院選比例区☂️立憲民主党 (@kanameyukiko) June 18, 2022
1、性産業のことは、性産業で働く人たちが決めるという、当たり前のことをちゃんと普及させたいです。 pic.twitter.com/XpwxAeMdFu
7月には、自民党の国会議員会合で「同性愛は精神障害、または依存症」と書かれた冊子が配られ炎上した。これに賛同する自民党議員たちは、性の正しいあり方はこちらが決める、と言いたいのだろう。
性のありようとは、LGBTQに限らず、自分らしさそのものに他ならない。性産業で生きる当事者たちの幸せのあり方も、それぞれ自身が決めていきたいのだ。売る売らないは私が決める。
これは各種精神疾患当事者や、障害当事者たちであっても全く同じことだろう。
要さんは「表現の自由系の候補者さんたちみたいに、あるいはLGBTQIAの候補者さんたちみたいに、各党からセックスワーカー、性産業の味方を標榜する当事者の候補者が乱立するのが夢です」とも語る。
選挙期間中、要さんは「私のドブ板選挙」として地方の風俗店を一店一店周り、ロビーや控室にポスターを貼らせてもらうという活動を続けてきた。これが当事者に寄り添うことでなく何だろう。
要さんは2014年、ニートひきこもりが中心となって、大阪城一周を2人一組で”歩いても休んでもいいから最後まで一緒に”ゴールする『1for1マラソン』というイベントに参加してくれた。誰かと共に汗を流して、走れる人なのだ。
私は参院選の2枚目の紙、比例代表には「要友紀子」と書いた。
「紀」元前から、僕ら「子」どもたちには「友」達が必「要」なのだ。