摂食障害乗り越え、ヴィ―ガン料理家になった女性「私は人口肛門に…どうか早めの治療受けて」涙の訴えに反響

スウェーデン、エーランド島出身のフリーダ・スヴァンベリさんは、ヴィ―ガン向けのお菓子、料理のオリジナルレシピをSNSやブログで投稿し、アプリや書籍も販売。ヴィ―ガン創作料理インフルエンサーとして、2児の子を育てながら、精力的に活動を行っている。
今年6月、彼女はある投稿動画で「過去の摂食障害の後遺症で、人口肛門をつける可能性が高くなった」と涙ながらに告白した。
続けて「この動画を見て、どうか(摂食障害の)誰かが早めに治療を受けようと思ってくれるなら、私は一生幸せです」と若い当事者たちに、早期の治療を呼び掛けた。
この動画はインスタグラムで、投稿後わずか15分で20万再生、最終的には数百万再生と大バズりした。(現在はインスタでは非公開)
フリーダさんはインタビューで「これは病気であり、助けが必要だと理解してもらうことが大切です。一人ではやめられないんです」と訴えている。
フリーダさんは17歳の時に、付き合っていた男性から、彼女自身や彼女の体について、否定的なコメントをされたと言う。
「今なら“ふざけるな”って突き放せたと思いますが、当時は若くて凄く影響されてしまいました。自分自身や自分の体に不満を持つようになって、ついにはまったく食べなくなってしまいました」と、拒食になってしまったのだ。
朝は食べる代わりにトレーニングを行い、学校での昼食は「朝食を遅く食べたからランチはほとんどいらない」と友人たちに言ってごまかしていた。
さらに放課後にもう一度ジムへ行き、夕食も避けていたと言う。
この結果、フリーダさんはたった4か月で20kg以上体重が落ちた。更に強い不安、不眠、自殺願望といった精神的不調にも陥る。
「本当に深刻な状態で、生きたくないとまで思っていました。自分が太っていると感じていたからです」と、どんどん自信を失ってしまった。
フリーダさんは、11歳からフロアボール(※北欧などで盛んな室内ホッケーのような競技)の選手として活躍していたが、拒食のせいでパフォーマンスは低下。体力も落ち、試合でもベンチで座っているように。
そして最終的に、このスポーツのキャリアを諦めたのだと言う。
フリーダさんは「私はスポーツだけでなく、たくさんのものを失った。フロアボールには多くの友人がいたのに、減量にばかり集中しているうちに、その関係も自然と途切れてしまったんです」と摂食障害が孤独を招いていったと言う。
19歳、フリーダさんが摂食障害のドン底にいた時に、祖母が「マインドフルネスを試してみたら?」と提案してきたと言う。
最初は「ヨガで前向きになれるっていうの?」と笑ってしまったのだと言う。実際にやってみても「でも私には、じっと座って瞑想していられるだけの集中力がなくて…」とじっとしていられなかったと言う。
「でもおばあちゃんは『マインドフルネスとは、何かに集中し、今この瞬間を感じること』だと説明してくれたの。それで私は、『お菓子作りに挑戦してみよう』と思い付いたの」
どうして、拒食に悩んでいたフリーダさんが、いきなりお菓子作りなのだろうか。
「まず(マインドフルネスと同じように)集中力が必要なこと。そして、病気の時の私の信念『砂糖や脂肪は危険だ』という考え方に逆らう行為だったから」と、あえて自分のタブーを打ち破ろうとしたのだと言う。
「とりあえずお菓子を焼いてみよう、と決めたの。材料一つ一つに集中して、他のことを考えずに済む”瞑想のようなお菓子作り”になった」と、お菓子作りをマインドフルネスとして行った。
最初に作ったのは、ホワイトチョコレートトリュフとキャラメルナッツのブラウニーだった。
「出来たものを見て、自分ですごく誇らしく感じだわ。それに”そんなに怖いものじゃない”って気づいたの。そして少しだけ味見して、『食べてもそんなに悪いことじゃない』って思えた」と、数年ぶりにお菓子を食したのだと言う。
味は「美味しかったわ。病気や自分自身への“反抗”として、本当に美味しいものを作りたかったの」と語る。
「お菓子作りは、今でも私にとっての私のセラピー。作っている間は他のことを何も考えず、自分が誇りに思えるものを作ることだけに集中できる。今は、鏡に映る自分を見て、『今日クッキーを3枚か4枚食べたとしても、私は大丈夫』って思えるし、自分に誇りに思っても”OK”だって気づけた。そう、最後はその誇りが苦しみを上回ったの」
もう一つの転機は、摂食障害の真っただ中に、現在のパートナーと出会ったこと。彼こそは、フリーダさんが最初に作ったブラウニーを食べた人間だ。
そして現在のフリーダさんの事実婚パートナー(※フィンランドの若い世代では事実婚が主流)であり、2人の子どもの父親でもある。
フリーダさんは「自分の将来や、彼との関係を台無しにするわけにはいかない。セラピーに通おうと決意したの」と治療を行うことにした。
摂食障害の時期に、フリーダさんは「せめて食べるなら身体に良いものを」とベジタリアンに移行しており、19歳からは、苦手だった卵も断っていた。
22歳の時に第一子を産み、23歳の時に第二子を産んだフリーダさん。子どもたちが牛乳アレルギーだったことから、フリーダさんは第二子の母乳育児期から、ヴィーガン食へ移行していった。
第二子が1歳を迎えようとしていた時、フリーダさんは「家族全員が食べられるバースデーケーキを作りたい」考えた。しかし、乳タンパク質や卵を含まないレシピが非常に限られていることに気づく。
「私は“普通のケーキ”を作りたかったのに、調べても、デーツやアボカドを使ったローフードのボールとかバーばかり」と植物性食品でお菓子やケーキを作ろうとしても、レシピが無かったのだ。
「砂糖、脂肪、小麦を使った”ジャンク”なヴィーガン向けの焼き菓子のレシピがほとんど無いの。私はそういうものがとても恋しかったわ。みんなが美味しそうなシナモンロールを食べてるのに、自分だけローデーツボールなんて、正直つまらないじゃない。だから『自分で作ろう』って決めたの」と、ヴィ―ガン向けの”ジャンク”な焼き菓子を開発し始めたのだ。2018年、24歳の時だった。
フリーダさんの住むエーランド島は人口約2万5千人。フリーダさんは「この島には私たちヴィーガンは5人くらいしかいないのよ」と笑う。都会のように専門食品を扱うヴィ―ガンショップがないので、普通の食料品店で手に入る材料を使ってレシピを作るこことになる。
そのため、フリーダさんは、牛乳は豆乳やオーツミルクに。バターやマーガンは、乳製品不使用のマーガリンや、菜種油に。クリームは大豆やオート麦のクリームに置き換えている。他にもゼラチンは寒天や野菜ゼリー、ゲル化唐などで代用する。
そして、フリーダさんのレシピに最も多く出て来る”ひよこ豆”だ。これは卵のふんわり感を出すための代用として、缶詰のひよこ豆缶から、ひよこ豆粉として作るもの。
ソフトケーキやマフィン、スポンジケーキにも卵と同じように使うのだ。
卵とひよこ豆粉の比率は1:1であり、卵1個がひよこ豆粉大さじ3杯に相当するとのことだ。
卵とひよこ豆粉の違いは脂肪分であり、チーズケーキやカスタードなどの焼き菓子を作る場合、卵黄の代わりにコーンスターチやゲル化剤を使う必要がある。
ちなみにひよこ豆粉を使う時のコツは、フリーダさんによると「ひよこ豆の煮汁(アクアファバ)とグラニュー糖を混ぜすぎないこと!混ぜすぎると焼いてるときにケーキがしぼんで、ダメになっちゃいます。30秒くらいで十分です」とのことだ。

フリーダさんは次々と”ジャンクなヴィ―ガン”お菓子を開発し、写真やレシピを開設したブログ、インスタグラムに載せていった。
たとえば、隣国スウェーデン風の”縁はしっかり、中はトロリ”のチョコレートケーキ『ヴィーガン・クラッドカーカ』や、薄いビスケットにチョコが挟まれた、スウェーデンで人気の「ノブレス」風のヴィーガン版チョコクッキーなど…。
フィンランドは、世界有数のコーヒー消費国であり、コーヒー文化が根付いている。
「カフヴィタウコ(甘いものと一緒にコーヒーを飲む)」という習慣があり、これは会話を楽しんで周囲との良い関係を築くきっかけにする”もの。なんと仕事中にも一日に数回、コーヒーを飲める権利が法制化されているのだ。
このコーヒーのお供の「ペストリー」と呼ばれるお菓子や料理たちも、伝統的に普及している。
フリーダさんも「私のケーキはすごく不健康だけど、私にとってコーヒーを飲むことは、すごく美味しいけれど不健康なものを自分にご褒美として食べることなんです。ヴィーガンペストリーと伝統的なペストリーも『ご褒美要素』は変わらないわ」と語る。
フリーダさんが毎日のようにネットに載せてゆくお菓子レシピは、このフィンランドならではの習慣も手伝い、次々と国中のヴィ―ガン志向の人たちがフォロー。2年間で4万フォロワーを超えた。
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その後フリーダさんは、24歳の18年夏には初のヴィ―ガン焼き菓子専用アプリ『ヴィーガン・フィーカ:スウェーデン式おやつタイムのレシピ集』をリリース。
更に27歳、21年には初のレシピ本で、スーパーで手に入る一般的な材料を使うことに重点を置いた『ヴィーガンスイーツ:私のとっておきレシピ集 ― ロールパン、クッキー、チーズケーキ』を刊行と、スウェーデンの”親しみやすいヴィ―ガン料理家”としての地位を確立していく。
老人ホームのケアスタッフとして働いていたが、22年春には辞職し、料理家・インフルエンサーとして一本立ちした。
また国内でも様々なメディアに取り上げられ、プライベートでは2人の男の子と婚約者との生活も順調、順風満帆のようだ。
一方、摂食障害については「回復の道のりは長く、ダイエットすることは避けている」と言う。
ジムにも行くこともしない。減量やそのための運動が、病気の記憶を呼び起こし、不安感を引き起こすからだと言う。
フリーダさんは「『またダイエットしなきゃ』って思ってしまうときは、セラピーに戻るようにしています。今の私は“食べることを選ぶ拒食症者”だと思っています。まるで“断酒中のアルコール依存症者”のように。警戒すべきサインを認識するのが上手になったし、体重が増えたり減ったりするのは、皆の財布の中身と同じで、当然のことなんだと学びました」と語る。
また、少女時代に熱中していたフロアボールを再開している。現在は主に社交のため、友人たちに会う目的で「時々プレーしている」とのこと。
少しずつ病気とも、うまく付き合えるようになっているのだ。
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しかし今年6月、フリーダさんは”身体の異変”を告白した。
実は10代の拒食期に、1日に何度も下剤を乱用しており、腸が深刻な損傷を受けていたのだ。
SNSではいつも笑顔のフリーダさんだったが「常にトイレの近くにいなければならず、毎日気分が悪くてお腹がとても痛い。食べるとお腹が張ってしまうんです」と不調を抱えていたのだと言う。
結果、今までに数回の手術を受けているという。
そして今年6月、フリーダさんは、病院のベットで涙にぬれた自身の映像をSNSに投稿。テロップにはこう書いてある。
「今日、外科医が手術後にこう言いました。私の腸は、長年の摂食障害のせいでひどく感染し、損傷していると。今後さらなる手術が必要であり、高い確率で人工肛門(ストーマ)が必要になるだろうと」
「病気に勝たせないでください。私は今、回復していますが、一生消えない傷を負いました。病気は勝ち、最も痩せた者がいつも負けるのです」
食や自身の身体を愛せるようになり、摂食時代からも年月がたった今、人口肛門が必要なほど、身体には消えない後遺症が残っていたのだ。
フリーダさんはこの映像に「この動画で、たった一人でもいい。誰かが早めに治療を受けようと思ってくれるなら、私はそれだけで一生幸せです。
誰も摂食障害になることなんて望んでいません。助けを求めてください。ABC、BUP(児童思春期精神科)、精神科、かかりつけ医に電話してください。お母さん、お父さん、兄弟姉妹に電話して。話してください。あなたは助けを受けることができます」とキャプションをつけた。
Threadsで見る
この投稿はまたたく間にスウェーデン中で拡散され、何百万再生もされることに。反響が大きすぎたことから、料理家としての本業に差し障ると考え、フリーダさんは今では非公開にしている。(※Threadsでは残っている)
その後、フリーダさんは「今でも自分がもっと賢くあるべきだったと恥ずかしく思うことがあります。でも、摂食障害は危険な病気で、大人になって初めて、それが自分のせいじゃなかったと気づきました」と若かった時には気づけなかったことがあると言う。
フリーダさんの元には、実際に5人の少女が、動画を見て、病院に受診したと伝えてくれたと言う。
「自分が大人で、しかも2児の母なのに、まだこういう思考にとらわれていて、自分の姿に満足できないことを、ずっと恥ずかしく感じていました。でも、摂食障害が病気であり、専門的な助けが必要なんだということを、当事者に理解してもらうことが本当に大切なんです。自力でやめられるものじゃありません」と、コントロールを手放し、助けを求めてほしいと繰り返し訴える。
人口肛門は数ヶ月の一時的なものになる可能性もあるというが、症状の経過次第でまだわからない。
現在SNSでは、今までのように美味しそうなスイーツ、料理の数々や、ポジティブな日常が掲載されている。
摂食障害は、ヴィ―ガンインフルエンサーになる道も作った一方、身体に深刻な後遺症も残していった。
これからの彼女の活躍、動向にも注目したい。
【摂食障害】回復した先輩が”バディ”を組んでくれるアプリ「12週間、伴走するよ」当事者たちが開発=独

(@suessundessgestoert YouTube より)
24年、ドイツ・ベルリンで、3人の摂食障害、身体イメージ障害(醜形恐怖など)を経験した男女が、”摂食障害と向き合う人に、12週間の回復の伴走をするウェブアプリ”を開発、ローンチした。
その名は『F-50』。一番の特徴は” バディ(伴走者)システム” で、回復を経験した先輩が個別にサポートを提供してくれるということ。
アプリは医師や心理士たちと共同開発した、認知行動療法に基づく回復プログラムがベースとなっているが、他にも当事者同士のコミュニティスペースや、オプションでカウンセラー等専門家のアドバイスを受けることもできる。
公式サイトのプログラムの説明には「なぜ“バディ”がすべてを変えるのか?
本当にあなたのことを理解してくれる誰かと話すこと――それが違いを生むのです」と書かれている。

(@suessundessgestoert YouTube より)
中心メンバー3人のうち1人、クラウディアは長年摂食障害に苦しんできたが「治療の途中で知り合った仲間たちとの対話が救いになった」と語る。
しかし、もっと回復したいと思う中で「グループ以外に何も見つからなかった」「どうしてデジタルオプションが無いのか、信じられなかった」と、自分に合ったソリューションが存在しなかったと語る。
「だから、自分で作ろうと思ったのです」と言う。
更に「もしあの時、日常の中に、さりげなくアクセスできるようなサポートがあれば…」とも振り返っており、これが後のF-50「伴走型プログラム」の種になったようだ。
オンラインなのも大事なのだと言う。クラウディアは「昼夜を問わず、どこにいても大丈夫。摂食障害のことがどこで頭に浮かんだとしても」と、生活の中で常につきまとう”食”の問題だからこそ、すぐにアクセスできることが大事なのだと言う。

彼女は寛解してゆく中で、同じく10代の頃から拒食と過食を繰り返してきたキャロライン、そして「健康で筋肉質な身体でなければならない」と強迫観念に悩んできたボディイメージ障害のイェライに出会った。この3人がアプリ運営の中心メンバーになる。
イェライのみ男性だが、ドイツでも男性の摂食障害はマイナーだ。彼は「男性当事者が声を上げる機会は少ない。でも、だからこそ自分が関わる意義がある」とも綴っている。
スタートアップ賞にノミネートされたインタビューでは「ドイツで唯一の摂食障害専門プロバイダー」と語っており、クラウディアが言っていたようにドイツには有効だと思えるオンラインサポートが見つけられなかった
3人が「私たちが自分自身に望んでいたもの」とは…。
それは「個々のニーズに合わせた、24時間年中無休の利用可能なプラットフォーム」であり、「回復を押し付けるのではなく、一緒にいてくれる存在」と共に「”摂食障害を治す”ではなく、”摂食障害とともに、自分らしく生きる”こと」を学んでゆけるサービスだった。

アプリは12週間の回復プログラムをベースとしている。
12週間の進行を見ると、まず序盤は「摂食障害がどうして起こるか」や「内なる声について」など学習ターン。
更に自分の身体や感情を受容、認識しつつ、運動や休憩など”実践”してゆくフェーズ。
そして栄養や身体の変化について学びつつ、「日常のコントロールを手放すこと」「孤独から抜け出すこと」など生活の中で摂食障害と付き合ってゆくやり方を考えてゆく。
プログラム終盤は日常に戻る戦略を立て、将来に向かうビジョンや、プログラムから学んだことをどのように生活に落とし込んでゆくかという仕上げだ。
公式インスタグラムには「このアプリは『回復』の押し付けをしない。ただ『一緒にいてくれる』」と書かれている。

アプリの内容としては、36の認知行動エクササイズに、100以上の、ビデオ学習や18の元当事者たちの経験メッセージが収録。
さらに何十もの音声瞑想パターンや、オンラインでのヨガやピラティスのサービス。
そしてユーザー同士のオンラインコミュニティ、アプリの特徴である週に1対1のバディセッションがある。
バディとは週に1度の対面だが、オプションで随時チャットも出来るようになっているようだ。
『F-50』の名称由来については明らかにされていないが、「F50」とは国際疾病分類(ICD-10)において摂食障害を示すコードだ。たった3文字のコードに、病名ではなく、新しい意味を与えたかったのかもしれない。
価格は「週で4.99ユーロ(約810円)」となる。

F-50は昨年春にローンチされ、まだ大きな広告も打たず、派手なプロモーションもしていない。
それでも口コミと共感が少しずつ広がり、同年、「ドイツ文化・創造産業賞」にも選出された。
公式サイトのトップには「私たちは、摂食障害の地獄を経験しました。だからこそ、F-50を開発しました。あなたが今感じていることを、私たちも感じてきたのです」と綴られていた。
世界でも当事者が自身の経験を元に「自分たちが欲しかった」「苦しみを経験したから作れる」ビジネスを起こす動きは広がっている。
・F-50 (ドイツ語サービス)
・インスタグラム
・ポッドキャスト

「リストカットは清潔な刃物使って」アドバイスしたLGBT団体が炎上「自傷を奨励してる」=英国

(LGBT Youth Scotland公式インスタグラムより) @lgbtys
3月末、英国『タイムズ』紙は、「LGBT団体が自傷行為をする子供たちに『清潔な刃物を使うように』指示」とタイトル通りの記事を報道、英国内で炎上している。
若い性的マイノリティを支援する『LGBTユース・スコットランド』は、リストカット等自傷行為をしてしまう若者への対処として、ボランティア員に「子どもが”対処法”として自分を傷つけているのであれば、それを奪うのは間違っている。その代わりに、清潔なカミソリの刃を使っているか尋ねなければならない」と指示したと言う。
ボランティア志願者の一人が、「衝撃で無神経だ」として、スコットランド慈善団体規制局(OSCR)に告発した。
LGBTユース・スコットランドは、若者たちへの個別支援の他、何百という学校でもチャーターやクラブ活動を行い、政府や保健サービスから毎年2億円超の助成を受けている。
告発者は「精神疾患のある若者に清潔なカミソリの刃を使うように勧めるのは無謀だ。これは自傷行為を奨励するサインだと誤解されやすい」と訴えた。
このニュースは炎上し、SNSでも「自傷行為を助長することは違法では?」「この組織は、子供や若者にとって危険」「政府はこのホラーショーをやめさせろ」と批判の論調が多く出ている。
心理療法士など識者も「未成年に”安全に”自傷する方法を教えることは、その行為を自己のアイデンティティの一部として定着させる危険性がある」と警告を鳴らす。
これを受け、保守党議員も「納税者から資金提供を受けているこの団体が、弱い立場にある子供や若者にこのようなひどいアドバイスを与えていることに、親たちは驚き、憤慨するだろう」として、助成をやめるよう閣僚たちに求めた。
しかし、結果的にOSCRは「政策を見直した」ため同団体への調査を取り下げ、資金提供に「引き続き尽力する」と支援を継続。
これにも引き続き批判が殺到した。
ただし、SNSにも少数ながら「自傷していた子どもの母親だけど、刃物を取り上げても、子どもは他のものを見つけて使おうとする。追い詰められてしまうから。結局、娘は鉛筆削りを分解して刃を取り出すようになってしまった」「最初は恐怖を感じたが、しかし、若者が自傷行為をやめられるよう助け、支援できるまでの間は、感染を防ぐことが不可欠だと気づいた」との意見もある。
この団体は昨年、出版したローティーン向け”カミングアウトガイド本”の共著者が、過去に小児愛者向け映像を配布し有罪になっていたなどで問題になっていた。
また国が推奨しない”思春期ブロッカー(抑制剤/※思春期に起こる身体の変化を一時的に遅らせ、トランスの若者が思春期の苦痛を軽減するため等に使われる)”の使用を支持するなどし、各メディアにも「この物議を醸しているグループが…」と書かれている。
「リストカットに清潔な刃物」は”自傷推奨”なのか ↓広告の下に続きます
「リストカットに清潔な刃物」は”自傷推奨”なのか
「ハーム・リダクション」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
直訳すると「害 (harm) の低減 (reduction)」となり、”依存・嗜癖をただちにやめることが出来ない場合、使用によるダメージを出来るだけ少なくしようとする指針や方策”のことだ。
たとえば、薬物乱用をすぐにやめらることが出来ない場合、感染症などの二次的な危険を避けるため、注射針による回し打ちなどを防ぎ、清潔な注射針を配布するなどのことだ。
アルコール依存でも節酒や肝臓数値での飲酒指標、タバコでもニコチンガムやニコチンパッチに置き換えるなどがこれに当たる。
おそらく今回問題となっている団体の指標としては、やめられないリストカットに対し、感染症等の二次(望まぬ)被害を防ぐため、清潔なカミソリを使用することを薦めていると思われる。
筆者自身、多くのリストカッターと取材・交際し、何人もの友人が”リストカットによる心臓弁の弱化と、薬物オーバードーズの併用による事故死”に遭うのを見てきた。
深いリストカットを常用すると、当然血液が多く流れ出て血液中のヘモグロビン値が低下する。それでも心臓は搬入しようと働くが、これにやはり常用的なオーバードーズが重なると、負担が大きくなり機能停止してしまうのだ。
なので、ハードなリストカッターには定期的な血液検査を行い、一定のヘモ値を割らないように個人的に忠告している。
『LGBTユース・スコットランド』が今回の件に関して、声明などは見つけることが出来なかった。見つけた方はコメント欄で教えてほしい。
またリストカッター当事者の意見も少なかった。
今回のようなハーム・リダクションについては「あくまで短期的な対策であり、より広範で明確な治療戦略の一環として組み込まれるべきなのだ。本質的な原因に向き合うことは不可欠であり、そこに踏み込まなければ、問題となる行動は必ず再び現れる。『容認』から『正常化』へとシフトしてしまってはいけない」という意見もある。
一方「カッティングは自己コントロールの手段であり、否定されたり挑戦されたりすると、かえって頻度が増し、闘いのようになってしまう。だからこそ、ダメージを減らすために清潔な道具を使うよう助言するのだ。自傷行為には操作的な側面があるが、無視されることでその傾向は弱まる」また「私の継娘は、ソーシャルワーカーの勧めで『クリーンキット』を持っています。それは、傷をきれいにして、よりよく治るようにするためのものです。悲しい現実ですが、残念ながら必要なことなのです」と理解を示したり、必要悪と認める声も。
個人的にはLGBTやメンタルヘルス等マイノリティの認知が拡大された後は、こういっな”現実的”な対立が起こると思っている。
しかし、この意見の相違は、相互理解に繋がることだとも感じる。
あなたは、この炎上について、どう思いますか?

”良くて一生車椅子”脊椎大ケガの格闘家、サンドバッグ打つ動画が「勇気づけられる」と話題=アイルランド

アイルランド出身の人気MMA(総合格闘技)選手ライアン・カーティス(31)は今年1月、試合前の練習で首や腰の骨折、脊椎脱臼等の大ケガを負い、手術へ。
損傷レベルは脊椎に起こりうる最も深刻な状態に分類されると診断され、手術後はICUに入院し、両脚と左腕は麻痺が残り動かない状態に。
少なくとも5ヶ月以上の入院が必要とされ、完治の目処は立たず。
練習仲間によると「この先二度と格闘技のトレーニングを行えない状態」とのこどだった。
カーティスは世界第2のMMA団体ベラトールや、英国有名団体Cage Warriorsなどで活躍する人気選手で、養うべきパートナーと2歳の娘がいる。
事故の後、練習仲間が医療支援基金のサイトを設立すると、アイルランド出身の元UFC2階級制覇王者コナー・マクレガーが、すぐに2万5000ポンド(約460万円)を寄付するなど話題にもなっていた。
その後もカーティスはSNSで常に笑顔の写真を投稿。愛する娘との触れ合いや、リハビリの様子を投稿し続けていた。
担当医師によると「彼は体幹と四肢すべての制御と力を失った」とのこと。
しかし5月初めののリハビリ時点では、右手のみをなんとか動かせるようになったのみで寝たきり、移動は常に電動車椅子で行っていた。
Ryan is currently still in icu. His family and our team are navigating this journey as best we can. Taking it day by day. Today was the first day he seen Kassia his daughter since the accident. Thankyou for your kind messages, prayers and continued support… pic.twitter.com/f4gHuBlZPS
— Leah McCourt (@leahmccourtmma) January 21, 2024
しかし5月末、医師は「なんて男だ、信じられない変化」と、彼が座って器具で両腕をトレーニングする映像を投稿。
6月には座った状態で脱力からのリカバリーや、四つん這いでの体幹の調節を行えるようになっている。
さらに7月には歩行補助具を使って歩くカーティスの映像が投稿されている。
そして大事故から半年と2週間たった7月4日。
投稿された動画では、カーティスがまだまだおぼつかない足取りで、弱弱しいながらも、サンドバッグに向かってパンチを打っていた。
格闘ジャーナリストは「『もう二度と歩けなくなるよ』『ベッドに座れたらラッキー』『最善のシナリオでも、残りの人生は車椅子生活になる』そんなのクソくらえ」と投稿。
カーティスは「時に人生は、あなたが何者であるか知らせるために、あなたを犠牲にする。それは、あなたが成り得るものになるためだ。だから決して自分を諦めないで」とメッセージした。
"You'll never walk again"
— Paul Browne (@BJJ_Browner) July 4, 2024
"You'll be lucky if you can sit up in your bed"
"Best case scenario, You'll be in wheelchair the rest of your life"
Fuck that. #BuiltDifferent@ChaosCurtis pic.twitter.com/oqCXb9UOuj
動画には多くのいいねがつけられ「あなたは本当のチャンピオンだ」「精神的にあなたに匹敵できる人は絶対にいない」「戦士のメンタリティ」と励まし称えるコメントが並んでいる。
その後も、カーティスのリハビリ映像投稿は続いている。
現在は家族と離れ、テキサス州ダラスのリハビリセンターで回復に励んでいるとのことだ。
格闘家が、自分の意思でないことで、格闘技が出来なくなること、今まで思うように出来ていた身体の操作が失われることは、本当につらいことだ。
彼は一流の舞台で戦っていた強いファイターだった。しかし、本当に強いとは陳腐な言葉だが一体何だろうか。
明日もリハビリに励んでいるに違いない。
おしゃれな”大人用おむつ”で自尊心アップ!日本でもカラフル&楽しいおむつを作りたい

日本の大人用おむつは、子ども用やペット用のものとは違い、何故か白一色の均一化されたデザインのものばかりだ。
今年11月に、Xで白の使い捨てオムツを黒く染めた写真が大バズリした。
投稿したのは「日本障がい者ファッション協会」代表で、車椅子ユーザーのおしゃれなファッションを創り出す平林景さん。
ある時平林さんは、大人用のオムツを履く時に抵抗感があるという話を聞き、自身も試してみると「何とも言えない抵抗感と、オシャレを諦めさせられる様な敗北感をうけた」と言う。
そこで「試しに黒く染めてみたら不思議と抵抗感が減った」とブラックなオムツを自作したのだ。

他にも「初めて大人用のオムツを穿く際、自尊心が傷つき、以降お洒落をする気力が無くなった」という話を耳にした。
それから平林さんは”藍染め”風のおむつや、「日によって好きな色が選べるオムツセットとかあったら最高」という言葉から、紫、黄色、緑…と7色の選べるオムツを試作。
Xにアップし続けると、そのたびに大きな反響があった。
車椅子の女の子からのリクエストで、ショッキングピンクに染めてみたり、ヒョウ柄などの”柄物”も。
また「むしろ、いま穿いているパンツよりお洒落なオムツがあったら、そっちを毎日穿くけどね」とオムツがインナーを”超えるかも”という声も届いた。

実はバリエーショナルな(白物以外の)オムツは、現在の子ども用おむつでは当たり前で、可愛らしく楽し気な柄、色のものを選ぶことが出来る。
またペットショップでも、犬用などの様々な種類のおむつを見ることが出来る。
さらに海外、とくに北欧ではおむつのデザイン性への意識も高い。「大人用 おむつ 使い捨て」を各国語で検索すると、従来の白地に混じって、かわいい色とりどりの水玉模様や、モノトーンのチェックや縞模様も多く目にすることが出来る。
大人用のオムツは、毎日の体調を見るために、よりわかりやすい白が選ばれる理由もある。
しかし外側にはよりスタイリッシュな”ガワ”を増やし、QEDを上げることが出来るだろう。
平林さん自身「これ(おしゃれなおむつを作ることは)は将来の自分のためでもある」と、自身が着用することも考えて制作していると言う。
平林さんは国内メーカーに向け「チャレンジ精神のあるオムツメーカーさん、一緒に明るい未来を作りませんか」と共同制作しようと呼びかけている。
日本でも大人のおむつ・デザイン革命を期待したい。
