産後ケアに、もっと身近で手軽な”銭湯”を!「自分が回復していくのがわかる」クラファンも挑戦
「もっと身近に、気軽に”産後ケア”を!」子育て中の親に、リラックスした銭湯タイムを安価な値段で提供しようとする取り組みがある。
この『産後ケア銭湯』を始めたのは、助産師で性教育YouTuberのシオリーヌこと大貫詩織さん。1年前に出産を経験した現在は、育児のリアルな問題を明るいトーンで紹介・情報提供する動画で人気だ。
『産後ケア銭湯』は、温浴・スーパー銭湯などの施設に助産師・看護職が出張し、託児と育児相談を日帰りで利用できるサービス。
現在、神奈川県藤沢市の”湘南台温泉らく”で 第4日曜日に毎月行っている。
事業拡大のため、11月末までのクラウドファウンディングも挑戦中だ。
大貫さんは、昨年夏に第一子を出産。助産婦という仕事柄、出産や育児については知識としては知っていたはずが「育児は大人が二人いてもギリギリだ」と痛感したと言う。
ある時、民間の宿泊型産後ケアを利用し「赤ちゃんも預けて、ぐっすり寝かせてもらって、その後に再会した赤ちゃんチビリーヌが”びっくりする可愛さ”だった」と語る。
産後ケアを利用することで、心の余裕の大切さを知ったと言う大貫さん。
しかし民間型の宿泊型産後ケア施設では、1泊5万円以上が相場だ。
また自治体が行っている産後ケア事業もあり、こちらは1泊1万円程度だが、条件に「心身の不調や育児不安があり、支援が必要な方(東京・板橋区)」などと書かれており、”自分が利用してよいのだろうか”と躊躇してしまうことが想像できる。
多くの人が気軽に利用することが難しい現状だと言えるだろう。
そこで大貫さんは同年10月「産後ケアをすべての人が手の届く選択肢にしたい」と『株式会社Rine』を設立。
手ごろな価格で、日帰り型で気軽に利用できる産後ケア銭湯事業に着手しはじめた。
当初は温浴施設での単発イベントとして始まったが、今年6月からは月イチでも行うように。
予約は全てオンラインで行え、会場へ行くと、授乳スケジュールやおむつタイミング、注意点を確認し預かる。
スタッフは助産師・看護職の他看護学生などのボランティアなど、赤ちゃん1人に対しスタッフ1人の体制で行っており、ベッドにはベビーモニターもついており安心度も高い。
通常は10時~16時の間で行い、利用料は約6000円~8000円だ。
利用者は常連さんも多く「スタッフの方もたくさんいて、泣いても必ず抱っこしてくれる姿が見れて安心できた」と最後まで気兼ねなく預けることが出来たと言う。
4回目だという利用者さんは「3回やるとどんどん自分が回復していくのがわかる」と笑顔だ。
しかしこの『産後ケア銭湯』の施設の拡大、運営体制を作ることに当面の人件費や費用がかかる。
現在はスタートアップのためにクラウドファウンディングを実施中だ。期日は11月末までで、300万円のうち、200万円ほどが集まっており、あと約3割だ。(11月15日現在)
筆者は結婚も子育ても経験が無いが、育児中の親が少しでもホッとできる余裕やリラックスした笑顔を取り戻すことが、ひいては虐待等の防止にもなるだろうと想像できる。
敷居の低い銭湯産後ケアの事業拡大を見守りたい。