片腕のキックボクサーが劇的KO勝利、キック世界最高峰『ONE』との契約をゲット「何も出来ないと言う人、望むなら私を見てくれ」=カナダ
11月25日(土・現地時間)カナダ・カルガリーで開催されたムエタイイベント『ムエタイ・ワールドカップ』にで、以前にも記事にした隻腕のキックボクサー ジェイク・ピーコックがKO勝利した。
この試合は立ち技(キックボクシング・ムエタイ)世界最高峰レベルの団体『ONE Championship』への契約権を獲得するトーナメントの決勝戦だった。
ピーコックはトーナメントを制覇し、ONEではカナダ人初のバンタム級(145ポンド/約65.7㎏)への参戦ファイターとなった。
ピーコックは胎内にいる時に、胎盤の羊膜が右腕に巻き付き成長することが出来ず、切断状態で産まれてきた。
隻腕のためイジメにあったピーコックは空手を習うとジュニア世界大会にも出場。キックに転向すると3つの地域タイトルを獲得している。戦績は11勝(10KO)1敗という倒し屋だ。
相手は新鋭のアブドゥル・ワファル。過去の映像を見ると、接近でのパンチと組んでのヒザを得意とする。
今回はONEムエタイルールで、ボクシンググローブではなくオープンフィンガーグローブだ。
試合は1Rから組み合いに。ピーコックは片腕のため組みづらく、何度か投げられる。
しかしピーコックが得意の蹴りを駆使、左ハイキックから左ミドルキックで腹を効かせると、相手は時間差でダウン。
相手は立ち上がるも、ピーコックがパンチ蹴りの猛攻。ヒジまでしかない右腕も、ヒジ打ちのように打ち込む。左ボディブローを効かせると、相手はまたもうずくまり、ダウン。
最後はピーコックが左フックを顔面に入れると、3たびダウンし、ピーコックがTKO勝利した。
ピーコックはこの勝利で10万ドルの賞金と、ONEで5試合を行う契約を勝ち取った。
ピーコックは青少年ケアカウンセラーでもあり、自分のジムを開くと、問題を抱える若者たちと共に練習している。
試合前のインタビューでピーコックは”障害があるから何も出来ない”という若者に、こうメッセージしている。
「誰がそんなことを言うんだ?自分を奮い立たせてくれる誰かを探しに行こう。正直な所、やりたいことをやる方法は必ずある、必ず道はある。そして、自分を励まし、背中を押してくれる適切な人たちに囲まれることだ。
君の周りに良いサポートシステムがあることを確認し、決してあきらめないこと。常に突き進み、既成概念にとらわれないこと。そして、もし君が望むなら、私を信じてくれ」