隻腕のキックボクサーが王者に、怒涛のパンチラッシュでKO勝利=カナダ
7月23日(土・現地時間)カナダのカルガリーで開催されたキックボクシングイベントで、隻腕のキックボクサーであるジェイク・ピーコック(29=カナダ)が、[WBCムエタイ カナダ ウェルター級王座]を怒涛のパンチ連打による、1RKO勝利で獲得した。
この試合で、彼はキックボクシング戦績を8勝1敗(ピーコックが運営するジムのサイトより)に伸ばした。
ロンドンで生まれたピーコックは、胎内にいる時に、胎盤の羊膜が右腕に巻き付き成長することが出来ず、切断状態で産まれてきた。隻腕のためイジメにあったピーコックは7歳の時から武道を習い、14歳でカナダに移住すると空手・極真会館へ入門した。
優れた足技と、切断された右腕を生かした近距離のパンチ連打を得意とし、極真の北米選手権を獲ると、世界大会にも出場。
その後、キックボクシングに転向すると、現在までに北米スーパーウェルター級王座、1Xヨーロッパスーパーウェルター級王座を獲得。16年には総合格闘技にも挑戦している。
試合は王座決定戦で、ピーコックの一方的と言ってよい展開となった。
接近戦に持ち込みコーナーへ詰めると、強烈な左フックで一撃ダウン奪取。相手は立ち上がるも、ピーコック得意の怒涛のショートフック連打によってまたもマットに沈む。レフリーがストップし、1R勝利を収めた。
ピーコックの右腕はヒジあたりで切断されており、そこにグローブをはめている。動画を見ると、前腕が欠損している分、右ストレートが通常の腕よりも素早い速度で飛んでくる。
また、グローブがついているとはいえ、切断面は通常の拳よりも尖っている。ブロックされると、相手は自分の拳をいためる可能性も高そうで、パンチを躊躇するかもしれない。
ピーコックは幼少時から、欠損した右前腕の欠点と利点を考え、強固なファイトスタイルを作り上げてきたのだろう。
自分も空手の試合で、右腕切断の相手と対戦したことがある。某流派の関東大会での2回戦だった。
まず右のパンチを打ってくるリズムが違うので、フェイントをかけてくるのに似たタイミングになる。かわしにくい。
さらに、受けたことのない痛さの突きである。切断面をもろに打ってくるので、拳より尖っておりいやなかんじだ。
幸い、ピーコックほど連打してこない相手だったので、勝つことが出来たが、回転力がある相手だったら苦戦しただろう。
人と違うということは、大変さがあるだろうし軽々しくは言えないが、ほぼオリジナルの武器になるものだと思う。
ピーコックはSNSで「次は誰だ!?」と吠えている。キックボクシングの70kg級近辺は、世界でも強豪揃いの階級だ。
彼がどこまで上がれるのか、見てみたい。
(自分の記事です)
怒涛のパンチ連打で圧倒勝利した
【動画】ピーコックの強烈KO!
【動画】空手時代のピーコックがパンチでダウン奪取!