自閉症・ダウン症の人との武道プロジェクトを行うファイターが、世界第2の格闘技イベントでデビュー勝利
9月23日(土・現地時間)アイルランド・ダブリンで開催された、世界第2の総合格闘技(MMA)イベント『Bellator 299』に、自閉症やダウン症当事者と格闘技を行うプロジェクトを進めるオットー・ロドリゲス(35=ブラジル/Otto Rodrigues)がデビュー、得意のチョークで2R 一本勝ちし、連勝を12に伸ばした。
ロドリゲスは試合数は多くはないものの、着実に勝ち星を重ね、今回の勝利で戦績は14勝1敗。ブラジルの著名な格闘技団体『Jungle Fight』のフェザー級王者にもなったことがある。
相手は地元アイルランドの期待の選手。試合は2R、ロドリゲスが見事な片足タックルからの豪快な投げでテイクダウンを取り、グラウンドでもコントロール、右手で首を抱え続けると、得意のチョークで一本勝ちした。
豪快な投げからのチョークに相手はたまらずタップ!
ロドリゲスは現在15歳の自閉症を持つ息子の父親だ。息子のロベルトが生まれる1年前の07年に、プロデビューした。
息子がこの特性を持っているとわかって以来、試合ではいつも自閉症のシンボルカラーである青のフラッグを掲げ「彼らと共に生きる者だ」とアピールしている。
息子のロベルトは運動と犬が好きで、とくにトレーニングジムの練習を好んだ。
ロドリゲスはインタビューで「彼がジムの練習を通した交流や、ジムで学んだルールなどが、彼の特性を改善した。他の(自閉症の)子たちよりも社交的になったように見え、訓練でもセラピーでもあったように思えた」とトレーニングが自閉症の資質から来る困難なことを改善していったように見えたと語る。
そして「彼がジム練習をしていくことによって、家族関係もとても良くなっていった。だから、他の(自閉症を持つ)家族も助けられる可能性があるのではと思ったんだ」と他の当事者もサポートしたいと思ったと言う。
そこで自閉症の子供や若者、ダウン症の人々たちへ、息子ロベルトが好み、自らもプロとして活躍する格闘技・武道を提供する社会プログラム『Estrela Azul(青い星)』を立ち上げた。
現在はリオ・デ・ジャネイロ近くの海辺町カボ・フリオで、30人ほどの当事者たちと活動していると言う。ゆくゆくはセラピーや「経済的利益をもたらす活動」も提供したいと言う。
ロドリゲスはBellator契約時には、事情で試合が流れてしまったが、フェザー級トップファイターのアーロン・ピコや、チェチェンの超人気ファイターと試合が決まっていたほどの期待株だ。
これからも勝ち上がって名を挙げると共に『青い星』プロジェクトの躍進にも期待したい。
ロドリゲスが息子や『青い星』の生徒に格闘技を教える