NO FUTURE FOR FUTURE

NO FUTURE,FOR FUTURE.メンタルや身体が不調でも、ほんの少しだけ明るくなれるようなことたち

”自殺未遂”カムアウトした格闘技女王、メンタルヘルス支援団体を設立、妹の自死も受け…

総合格闘技世界女王のアンジェラ https://www.instagram.com/angelaleemma/

 

 アジア最大の格闘技団体『ONE Championship』の”絶対女王”であるアンジェラ・リー(27=アメリカ)が、自死問題に取り組むメンタルヘルス支援団体『FIGHTSTORY(ファイトストーリー)』を設立した。
 アンジェラは今月19日、スポーツメディア『The Players Tribune』に手記を寄稿し、過去の自殺未遂・鬱の経験を明かし、さらに昨年死去した妹が、自死であったと告白した。

 アンジェラは15年に、19歳でONEの総合格闘技部門・初代女子アトム級王座を戴冠。以降5度の防衛に成功している”絶対王者”だ。階級上の王座にも何度も挑戦している。
 しかし昨年12月に、同じくONEで活躍する妹・ビクトリアが死去。以降試合を行っておらず、引退説も囁かれていた。

 アンジェラは手記自身が精神疾患による”サバイバー”であることをカムアウトし、告白することに何年もかかったと語る。

 アンジェラは17年11月、ハワイにて車でトレーニングに向かう途中に自動車事故を起こした。
 当時21歳のアンジェラは、3度目の防衛を前にし、婚約も発表したばかり。人生の絶頂にあった。

 しかしアンジェラは手記で「あの頃、防衛戦の準備をしながら、プレッシャー、ストレス、期待、すべてが蓄積し、心も体も限界まで追い込みすぎてしまった」と語る。

 さらに減量で思うように体重が落ちず「試合失格になり、誰かを失望させたくない、全てを放棄しよう」と”全か無か”思考になったと言う。
 そしてトレーニングに向かう途中、故意に事故を起こしたと告白した。

 アンジェラはそのことを夫以外に打ち明けられなかったが、次第に「自分の経験したことを他の人と共有するたびに、少しずつ良くなっていった」と悩みや経験をシェアすることで、長い時間をかけ回復していったと言う。

アンジェラと妹のビクトリア(左)https://www.instagram.com/angelaleemma/

 そして昨年12月26日、妹・ビクトリアが「自ら命を絶った」と明かした。
 アンジェラは悲しみの中からも「彼女が生きた驚くべき人生からインスピレーションを受けた。メンタルヘルスとの戦いでは、孤独を感じるかもしれないが、一人ではないことを皆に知ってもらいたい」と、非営利団体「ファイトストーリー」を設立したと言う。

 ファイトストーリーとは、公式サイトによると「あなたの人生ストーリーを共有し、祝うことの出来るコミュニティ&ライブラリー」とある。
 今月9日にはハワイで「愛する人を自殺で失った人や、自分自身やメンタルヘルスで苦しむかもしれない人を支援したい人」で集まりイベントを行った。

 アンジェラが、またリングに復帰するかはわからない。
 しかし多くの人の「人生の戦い」を支援してゆくことが、彼女にとって新しい強さになることと信じたい。

■『FIGHTSTORY(ファイトストーリー)』

■アンジェラ・リー

自殺防止月間である9/9には、自死ケアのためのイベントを行った https://www.instagram.com/fightstoryofficial/